DigitalPhotoProfessional + Easy-PhotoPrintを使う方法(初級)
この方法はPIXUS iPシリーズで初めて対応した方法です。(正確には9900iから) ただし、CANON製の一眼レフデジタルカメラを使っている人が対象です。対象外の人は中級へどうぞ。また、Photoshopなどを用いたレタッチを実施したい人もこの方法ではダメ(だと思います。)
簡単な流れ
DigitalPhotoProfessional(以下、DPP)で、レタッチを実施。
DPPで、作業用色空間を「AdobeRGB」にする。
DPPで、Easy-PhotoPrint(以下、EPP)で印刷。
EPPが勝手に起動して、用紙設定などをして印刷実行。
のみです。なんて簡単なんでしょう。ポイントは2で作業用色空間を「AdobeRGB」にすることです。こうすることで、EPPにAdobeRGBデータとして渡されます。
DPPの環境設定は、基本的にはデフォルトで大丈夫だと思いますが、私は表示用カラーマッチングをSpyder2PROで作成したプロファイルを指定しています。
EPPのTips
EPPはCANON製プリンタやデジカメに付属する印刷ソフトウェアで、印刷したい画像を選択して、用紙サイズを選択して、印刷するだけで簡単にふちなし印刷が可能で、私も当初は便利に使っていました。
しかし、いろいろ落とし穴もありましたので、ここで紹介します。
自動画像補整処理はOFFにする
インストール直後のデフォルトでは、ONになっています。OFFにしないと、妙な補正が入ってしまい、色がかわります。
また、当然ですが、VIVIDフォトやノイズリダクションもOFFにすべきです。
印刷の詳細設定は変更できない
印刷の際のプリンタドライバ設定が一切変更できません。
純正用紙サイズ以外は使えない
例えば、FujiFilmの画彩写真仕上げProの「はがきサイズ」用紙は使えません。
これらが理由で私は使わなくなりました。
EPPはプリンタドライバの印刷設定が一切設定できませんが、いったいどういう設定で印刷しているのかときになりました。EPPがどのような設定で印刷しているのかを調べる方法があります。
印刷ボタンを押した直後、タスクトレイ内にプリンタのアイコンが現れます。そのアイコンをダブルクリックしてプリントジョブのプロパティを表示させ、「お気に入り」タブを見ると、そこにEPPの印刷設定がリストアップされています。
これはプロフォトを画質優先で印刷したものですが、特にプリンタドライバでいやらしい設定をしていないようです。注目は「ICMを使用=オフ」「マッチング方法=しない」ですが、これは下記の中級編でも述べていますが、正しい設定です。
Photoshopを使う方法(中級)
AdobeRGB印刷はこちらが本命です。この方法はデジカメ、プリンタなどが変わっても基本的には同じですので、覚えておくと応用が利くようになります。もちろん、AdobeのPhotoshopが必要です。私が使っているのはPhotoshop7です。
簡単な流れ
- AdobeRGBの画像データを用意する。(RAW撮影した場合はDPPなどでAdobeRGB現像する。)
- PhotoshopでAdobeRGB画像として開き、必要に応じてレタッチする
- プリントプレビュー画面で、プロファイルを選択する
- プリンタドライバ画面で、印刷パラメータの設定をする
- プリントプレビュー画面で、ふちなし設定をする
- 印刷実行
です。それぞれの項目でコツがありますので、詳しく説明いたします。
2.PhotoshopでAdobeRGB画像として開き、必要に応じてレタッチする
PhotoshopでAdobeRGBの画像を開く場合、多少注意が必要です。まず、初期設定を確認してください。編集-カラー設定を選択します。
作業スペースの中の「RGB」は、通常「sRGB IEC61966-2.1」になっていると思います。この状態で画像を開こうとすると、その画像はsRGBの前提で開こうとします。これからAdobeRGB画像を扱うことがわかっているのであれば、「Adobe RGB(1998)」を選択しておきます。
また、カラーマネジメントポリシーの中の「プロファイルの不一致」は、「開く時に確認」にチェックを入れておくことをお勧めします。これは、上で設定した標準の作業スペースと異なる画像を開こうとした場合、下記のようなエラーメッセージを表示し注意を促してくれます。下記の例の場合、このまま「OK」をクリックしてしまうと、sRGBの画像をAdobeRGB画像として開いてしまいますので、色が狂ってしまいます。「作業用スペースの代わりに埋め込みプロファイルを使用」にチェックをしてから「OK」をクリックすれば、sRGBの画像として開くことができます。
RAW画像を現像してjpgにする場合、カラースペース(sRGB/AdobeRGB)をプロファイルに埋め込むようにしておけば、Photoshopを使っている限り、間違ったカラースペースで画像を開いてしまうミスがなくなります。
3.プリントプレビュー画面で、プロファイルを選択する
「ファイル-プリントプレビュー」を選択します。
ここでのポイントは印刷用のプロファイル(下部)を正しく選択することです。もし、下部が表示されていないのでしたら、「その他のオプションを表示」にチェックを入れて、「カラーマネジメント」を選択してください。
簡単に印刷用のプロファイルについて説明しておきます。何回も登場している「プロファイル」とはそもそも何なのでしょうか?日本語で言えば「定義」「決まり事」ということだと思います。では、印刷用のプロファイルは、そのまま印刷の定義、決まり事を指定するということになります。
CANONのプリンタですと、印刷用のプロファイルは、用紙ごと、そして印刷品位ごとに用意されています。(プリンタドライバインストール時に自動的に導入される。)
例えば、プロフォトペーパの品位1(最高画質)であれば、「Canon iP8600 PR1」を選択します。スーパーフォトペーパの品位1であれば、「Canon iP8600 SP1」を選択します。このプロファイル(定義)には、プロフォトの品位1で印刷する場合は、この色の時には、どのインクをどのくらいの量吹き付けるか?というような決まり事が定義してあります。つまり、使用する用紙で狙った色を出すには、ここで正確なプロファイルを選択する必要があるのです。
ちなみに、これらプロファイル(例えば、Canon iP8600PR1)の実態はというと、WindowsXPだと、「C:\WINDOWS\system32\spool\drivers\color」の中にある、「CNB6mCA0.ICM」(322kB)というファイルです。
で、プロフォトペーパの品位1の場合は次の様に設定します。
「マッチング方法」は基本的には「相対的な色域を維持」、そして「黒点の補正を使用」にチェックをいれてください。
「黒点の…」は、チェックを入れると黒つぶれを抑えられるようです。逆に暗さを表現する場合には、チェックをはずすと雰囲気がでるようです。
4.プリンタドライバ画面で、印刷パラメータの設定をする
「プリント」画面の「用紙設定」ボタンをクリックします。
「サイズ」と「給紙方法」、「印刷の向き」を選択して、「プリンタの設定」ボタンをクリックします。
プリンタを確認して、「プロパティ」ボタンをクリックします。
「用紙の種類」に「プロフォトペーパ」、「印刷品質」に「きれい」を選択します。また、「色調整」は「マニュアル調整」を選択し、「設定」ボタンをクリックします。
ここで、「マッチング方法」を「しない」にします。「しない」以外を選択すると、プリンタドライバで勝手に色の調整(変換)がされてしまいます。
なぜ「しない」に設定するのか。この方法はアプリケーションカラーマネジメントといって、ここではPhotoshopで色を管理するためです。Photoshopで色を管理したのに、プリンタドライバでさらに色調整を上乗せされてしまっては、二重調整となり色が乱れてしまいます。「OK」をクリックします。
「ページ設定」で「フチなし全面印刷」にチェックをして「OK」をクリックします。その他のプリンタドライバの設定、例えばVIVIDフォトやノイズリダクションなどは絶対に使わないでください。言葉は悪いですが、これらの特殊効果はド素人が訳もわからず使う機能です。
5.プリントプレビュー画面で、ふちなし設定をする
Photoshopでフチなし印刷をしようと思うとちょっとだけコツが必要です。上記の設定が終わると、ここの例ではL版サイズに対して比率=100%の印刷プレビューが表示されます。
試しに「メディアサイズに合わせて拡大・縮小」のチェックを入れると、若干左右が切り取られた状態に縮小されます。このときの比率はグレー表示ですが、49.97%であることがわかります。
チェックをはずして、上記の比率より5%ほど高い値を入力します。このさじ加減は何度が実験しないとダメです。プレビューでピッタリに調整すると、印刷した結果フチが若干残っていたりします。私は多めに入力して、どうしても被写体が切れてしまうときだけ微調整をしています。
あとは、「一部プリント」ボタンを押すだけ。