先日購入したグランドセイコー スプリングドライブ SBGE005 ですが、私がグランドセイコーを買うことにした一番の理由である、唯一無二の機構「スプリングドライブ」とは何か?
百聞は一見にしかず、ということで、動画をご覧ください。秒針の動きに注目です。
スプリングドライブの一番の特徴が、この流れるような秒針の動きです。時を刻むのでは無く、時が流れる、という表現がピッタリで、この秒針の動きを見ているだけで心が落ち着いてきます。
動画の後半では、少し見にくいのですが小さな歯車が高速で回転しているのが見えます。スプリングドライブには通常の機械式腕時計が時を刻むための、テンプ、という左右に行ったり来たりする部品がなく、一方向に高速に回転する歯車が秒針を動かしているので、このような滑らかな運針となります。
この一方向に高速で回転する歯車、まさにモータの動きそのものですが、その動力は通常の機械式腕時計と同じくゼンマイです。ただし、単純にゼンマイの力で歯車を回転させてしまうと、その回転数は制御できず、ギュン!と歯車が回って一瞬でゼンマイはほどけてしまいます。
そこで、ゆっくりとゼンマイをほどくように歯車にブレーキをかけながら、ゆっくり一定の時間で歯車を回し、ゼンマイをほどいていくのがスプリングドライブです。
その歯車のブレーキは一体どうやってかけるのか?ここで、電気の力を利用します。歯車に小さな発電機をつなげて、その発電機の負荷で歯車の回転を制御します。と、同時に発電機で発電された微少な電力で、クオーツを動作させ、発電量をコントロールすることで歯車を一定の正確な回転数に制御しています。
発電機がブレーキになる、ということをイメージするのにわかりやすいのが自転車です。自転車をこぎながらライトをONにすると、少しだけペダルが重くなりますよね?このペダルの重さを上手にコントロールすることで、ペダルの回転数を1分間1回転に制御するのがスプリングドライブです。仕組みは単純ですが、いざやろうとするととても難しそうですよね。世界ではセイコーのみが実用化に成功している技術です。
スプリングドライブの仕組みを説明している資料、Webサイトはたくさんありますが、私が一番分かりやすいと思った資料はこちら。
スプリングドライブ スプリングドライブの研究(PDF)
http://sii-shayuukai.com/uploads/photos1/99.pdf
また、特許も公開されています。
スプリングドライブの技術動向と展望(時計技術の動向と展望)
http://ci.nii.ac.jp/els/110007360965.pdf?id=ART0009223128&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1351605774&cp=
スプリングドライブクロノグラフ低負荷構造の開発(研究)
http://ci.nii.ac.jp/els/110007363061.pdf?id=ART0009225070&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1351605687&cp=
特筆すべきなのは、こんなに難しいことをやっているのに誤差がほとんどないということ。私のSBGE005は購入してから約1週間経過しましたが、誤差±0秒、です。機械式腕時計どころか、その辺のクオーツ式腕時計よりも断然正確です。今の所、電波時計並、ですね。
普段、腕時計に興味がない方も、日本で開発され、日本で製造されている、まさに純日本ブランドであるグランドセイコー スプリングドライブに興味を持って頂いたのでは無いでしょうか?
家電やスマホなど、韓国メーカに痛い目にあわされつつある日本メーカですが、こうやってみるとまだまだ日本の技術は負けない!と強く感じますし、そんな日本の技術を、グランドセイコーを購入したことで微力ながら後押しできたのなら誇りに思います。