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i1Display Pro レビュー#1

先日、ebayでゲットしたi1Display Proを徹底的に使ってみましたので、レビューしてみようと思います。
センサー自体の精度はそこそこだと思いますが、i1Profilerというソフトウェアがなかなかのくせ者でした。
なお、使用環境は、Mid2011 Mac mini(MacOSX Lion)、モニタはDELL U2711です。
本記事は、主にi1Display Proのレビューですが、U2711のレビューも兼ねています。U2711もなかなかのくせ者です、、。
まず、i1Display Proを使って、U2711の特性をチェックしてみます。
U2711には、色設定のプリセットに、sRGBやAdobeRGBなどが、そしてRGBゲイン調整によるカスタムカラーモードが用意されています。
R0010223_LR.jpg
通常キャリブレーション機器を持っていない場合は、プリセットカラーのsRGBモードやAdobeRGBモードを使うことになると思いますので、これらのモードがはたしてどの程度なのかをi1Display Proで測定してみました。
まず、sRGBモード
110803_01_LR.jpg
GとBはほぼフラットですが、Rの補正量が多いです。つまり補正をかけないでモニタを見ると、全体的に暖色系(赤っぽく)に見えます。
次に、AdobeRGBモード
110803_02_LR.jpg
AdobeRGBモードでは、逆にBの補正量が多いです。どちらかというと寒色系です。
これらの結果から、U2711でプリセットされているsRGBモードやAdobeRGBモードなどはそのままでは使えず、OS側でなんらかの補正ICCプロファイルを定義しないといけないということが言えると思います。
当然、i1Display Proなどのキャリブレーション機器を使えば、U2711のプリセットカラーに対しても、それを補正するためのICCプロファイルを生成できます。
しかし、U2711のプロセットカラーのように白色点が大きくずれている(グラフの右上の255ポイントのRGBのズレ)場合は、ICCプロファイルで補正したとしてもトーンジャンプなどの原因となります。
つまり、i1Display Proなどのキャリブレーション機器を使ってソフトウェアキャリブレーションを実施する際は、まず事前にモニタの白色点を合わせておく必要があります。その方法は、モニタのOSDを開いてRGBゲインを調整します。
R0010216_LR.jpg
U2711のRGBゲインはこのOSDメニューで調整します。
さて、ここで重要な報告があります。
i1Display Proは、キャリブレーション実施前にRGBゲイン調整をすることができません!
旧世代のi1Display 2では、事前のRGBゲイン調整が可能だったのですが、i1Display Proではその機能が削除されてしまいました。なぜでしょうか…?
正確に言えば、事前のRGBゲイン調整機能はソフトウェアで提供される機能ですので、i1Profiler上で削除された、と言う方が正しいですね。i1Profilerの今後のアップデートでこの機能が復活してくれることを切に願います。
事前のRGBゲイン調整ができない場合の白色点の合わせ方はどうするか?
私はRGBゲイン調整をしながら、ひたすらキャリブレーションを実施して追い込みました。その手順は以下の通り。
まず、RGBゲインすべて100でキャリブレーションを実施します。
110803_03_LR.jpg
GとBがゲインオーバーしていることがわかるので、GとBを少しずつ減らしては、再度キャリブレーションを実施します。ゲインをどのくらい減らすとキャリブレーション結果にどのくらい反映するのかはやってみないとわからないので、最初は勘でやるしかありません。
なお、ここではRのゲインはさわりません。Rを触ってしまうと、あっという間にRGBゲイン迷子になってしまいます。(いくらいじっても白色点が合わなくなります)
RGBゲインを微調整しながら、4~5回キャリブレーションを繰り返すと、ここまで追い込めました。
110803_04_LR.jpg
255ポイントの白色点はピッタリ合っているように見えます。中間部分が若干非線形の特性ですが、これはU2711の限界でしょう。価格の高いモニタほどこのラインは直線に、そしてRGBがピッタリ重なります。
この時のRGBゲインはこんな感じ。
R0010221_LR.jpg
本当に白色点が合っているかどうかを確認するには、作成したICCプロファイルを開きます。
110803_05_LR.jpg
110803_06_LR.jpg
110803_07_LR.jpg
RGBすべてで最大値がピッタリ1.000にはなっていませんが、ほぼ合っていると言っていいと思います。
i1Display Proは事前のRGBゲインの調整はできませんが、数回キャリブレーションを繰り返すことで、それと同等のことはできます。
時間がかかって仕方がないと思われるかもしれませんが、そこはご安心ください。
i1Display Proは測光時間が驚くほど速くなっており、最小パッチセット(119パッチ)を使えば2分以内で1回のキャリブレーションが終了します。
私はi1Display Proの検証のために、すでに100回以上キャリブレーションを繰り返しましたが、この測光スピードには本当に助けられました。
 

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