私はiTunesで管理している音楽ファイルを、Windowsファイルサーバ上で管理しており、Macからでも、Windowsからでも同じiTunesライブラリにアクセスすることができる環境になっています。新たに音楽ファイルを追加する場合でも、MacのiTunesからエンコードする場合もあれば、場合によってはWindowsのiTunesからエンコードすることもあります。
ただ、前々から気になっていたのが、MacのiTunesでエンコードしたAACファイルの方が、Windowsのそれより音が良いような気がしていました。特に、昔iTunes7の頃にエンコードしたAACファイルは、結構ヒドい音質の音楽ファイルもあり、調べてみるとWindowsのiTunesからAACエンコードしたものがほとんどです。
現在、すでにiTunesはバージョン10.1になっておりますが、昔からのこの疑問を払拭すべく、MacとWindowsのiTunes AACエンコーダについて調査してみたので報告します。
まず、調査対象の音源を何にしようかと考えたのですが、特定の曲を選ぶと得手不得手で結果が異なる可能性があるので、Windowsの「SoundEngine Free」というソフトウェアに搭載されている「WaveGenerator」というツールで生成したピンクノイズを音源としました。生成したWAV音源は、20kHzぐらいまできれいなスペクトルを示していることがわかります。
このWAV音源を、MacのiTunesと、WindowsのiTunesそれぞれで、96kbps、128kbps、256kbps(iTunes Plus)のAACエンコードを実施します。生成されたAACファイルを再度iTunesでWAV音源に戻してから、SoundEngine Freeに搭載されている「WaveError」で元音源との比較をします。
まず、AAC 256kbps
右上の文字のウインドウは、左がMac、右がWindows。たくさんの数字がありますが、MSEという数字が低い方が、元音源との差が少ないことを示します。結果、MacとWindowsでほとんど同じということがわかりました。
また、右下のスペクトルを見ても、元音源とほとんど同じくらい高音が伸びていることがわかります。256kbpsのAACエンコードはMacでもWindowsでもオススメです。
次に、AAC 128kbps
左のMacと右のWindowsの数字を比較すると、これまたほとんど同じです。
右下のスペクトルを見ると、16kHzぐらいでばっさり高音が切り捨てられているのがわかります。これを見ると128kbpsは使いたくなくなりますね…。
最後に、AAC 96kbps
左Mac、右Windowsで、Macの方が良い結果が出ています。128kbpsまでほとんど同じでしたが、96kbpsでなぜ差を付けているのでしょうか?
スペクトルを見ると、とても音楽では使いたくないビットレートではありますが。
結論
iTunesに搭載されているAACエンコーダの性能は、低ビットレートになればなるほど、Mac版の方が優れている。
ピンクノイズを使った評価では、128kbpsで双方の差はほとんど無いが、音源によってはMac版の方が良い傾向が出る可能性がある。
iTunes Plus 256kbpsでは、Mac版、Windows版のAACエンコーダの性能は同等である。
WindowsでiTunesを使っている方は、迷わずAAC 256kbpsを使いましょう。それ以下のビットレートでは、Macと音質差が出る可能性があります。それか、これを機会に、是非Macを買ってください!!
iTunesのAACエンコードの性能はiTunesバージョンがあがるごとに日々進歩しているとも聞いております。これを機に、すべての曲をiTunes Plus 256kbpsでエンコードしなおそうかなぁ。。。
iTunesのAACエンコーダ Mac版とWindows版の違い