デジカメ

RICOH GXRについて想う

RICOHからGXRが発表されました。
誰もがレンズ交換式のミラーレスAPS-Cセンサ搭載デジタルカメラを想定していたでしょうけど、ん?言葉で「レンズ交換式のミラーレスAPS-Cセンサ搭載デジタルカメラ」と言えば別に間違ってないですが、まさか交換レンズ内に撮像素子が内蔵されるとは思いませんでした。いやぁ、びっくり。デジタルカメラでここまでビックリさせられたのは、2006年頃のDP1発表の時以来かも。
仕組みなどについてはRICOHのホームページを見ていただくとして、私のGXRに対する率直な感想。
考え方が保守的なのかもしれませんが、そこで分離しちゃいけないだろ、と。レンズ交換式デジタルカメラって光学系と電子系でわかれていたからユーザーにいろんな楽しみ方を提供できたのだと思います。光学系の進歩が1だとすると電子の進歩は5や10や100だったりします。戦前のレンズと21世紀の最新ボディを組み合わせるなんて、聞いただけでも神秘的じゃないですか。つまりレンズは不動産、デジタルボディは動産であって、そこをきれいにすっぱり分離することによって、それぞれおたがいの進歩を浸食することなく共存しシステムとして成立してきたのだと思います。
逆にレンズ一体型デジタルカメラの場合。こちらは光学系と電子系という全く別の性格のものを無理矢理一緒にして一生を添い遂げさせる、片側の死は、もう片方の死を意味する随分割り切ったシステムです。それ故、高価なレンズをセットにしたコンパクトデジカメはメリットが見いだしにくく、開発しても高価であまり売れないということになっています。そんな中で登場したSIGMA DPシリーズは、そういうニッチな高級コンパクトカメラ市場に一石を投じ、あらたな価値を創造している数少ないカメラであると思います。話は逸れましたが。
ではGXRはどうか。分離式のレンズユニットに撮像素子を内蔵した時点で、上で述べた流れで言えばすでにコンパクトデジカメとして論理が成立してしまっています。なのに、GXRは撮影するのにさらにボディが必要です。ん~、何か妙な違和感があります。。この違和感は何から来るのか?
レンズユニットに内蔵された撮像素子にはいくつもの変化要素があります。撮像素子やシャッターユニット(現時点、GXRにどういうシャッターユニットが搭載されているかはわかりませんが)の劣化や、撮像素子そのものの陳腐化。それらを考えると撮像素子の実質寿命は最長で5年が良いところでしょう。反面、レンズは基本的には半永久的にその性能を維持します。こんなアンバランスな二人が一緒になり一生を添い遂げることになったら、その組み合わせの寿命は必然的に短い方に引っ張られ、5年か頑張っても7年。さらにGXRはレンズユニットだけでなくボディが必要です。このボディにだって、撮像素子ほどではありませんが液晶パネルや記録メディアなど陳腐化しやすい技術が搭載されている。この寿命もおそらく5年程度。つまり、GXRのレンズユニットとボディはそれぞれ同じような寿命であり、お互いを浸食することはない、よって、これらを分離することはシステム寿命という観点ではメリットは無いと言うことになります。
もちろん、GXRには寿命以外にもいろんなメリットがあると思います。撮像素子のホコリ問題は基本的にありませんし、レンズユニットのラインナップが増えてくればボディー部分のコモン化による価格メリットも期待できます。(しかし、ボディが5万円ではそのメリットは薄れるが)
しかし、私の結論はやっぱり「GRD3+αぐらいのボディサイズでAPS-C撮像素子を持つ、レンズ一体型コンパクトデジカメ」で良かったんじゃないかと。そしてSIGMA DPシリーズに宣戦布告して欲しかったなと。しかも、仕掛けのギミックに走りすぎたGXRカメラメカゴジラは、50mmレンズを付けた場合も、ズームレンズを付けた場合も、バランスが悪くてかっこわるい。GRD3のようなスマートさのかけらもありません。
なんか、ネガばっかり語ってしまいましたが、デジタルカメラの歴史に新たな風を起こしたことには違いありませんし、これを考えたRICOH、これを開発したエンジニアには拍手を送りたい気持ちです。あとは是非、GRDのような確固たる地位を築いてもらいたいですね。
SDIM0311_LR
SIGMA DP1s

-デジカメ