クルマ

レカロシート 雑感

私が所有しているレカロシートは「SP-G」、フルバケットタイプでリクライニングもできません。こんなシート、マーチには不似合いだと思われるかもしれませんが、私にとっては、クルマに気持ちよく乗り続けるための最大重要項目となっています。
レカロに最初に出会ったのは、約5年前、当時乗っていたEG-6シビックに取り付けたSR-3(リクライニング可能)が最初でした。当時は、EGシビックで長時間ドライブ(せいぜい2,3時間程度)するごとに腰と肩のコリに悩まされ、週末のドライブの疲れが平日中頃まで尾を引くこともしばしばでした。当時は、それらの原因がまさかシートにあるとは思ってもいなくて、クルマに乗ればコリがひどくなるのは避けようのない事実であると、あきらめつつ受け止めていました。
そんな折り、偶然にもレカロSR-3を手に入れました。シートをレカロにしてみようと思った理由は、悩みのコリを治すためではなく、単にレーシーな雰囲気を出すモノ、いわゆるファッションパーツとして受け止めていました。しかし、レカロSR-3に交換してからというもの、それまで悩まされていたコリがピタッと治りました。どんなに長時間のドライブをしても腰や肩に負担がなくなったのです。これがレカロの恩恵であると理解するのにはそれほど時間を要しませんでした。それからは、クルマを乗り換えるごとに、シートもレカロに載せ換えることが私の中では当たり前で、最重要改造項目になったのです。
最近では、レカロシートは、一昔前のようにボーナス時にその大半をはたいて購入するモノから、お小遣いをちょっと貯めて買うモノへと値段を下げてきました。当時は、正規品は高くてとても買えないから、通販などで並行輸入品を買うのが一般的でしたが、今では正規品が当時の並行輸入品の価格よりも安くなり、非常にお手頃になってきています。
私は声を大にして言いたいです。マフラーを換えるなら、足周りを換えるなら、まずはレカロをいれなさい、と。マーチみたいなクルマにレカロは必要ないよ、じゃないんです。マーチみたいなクルマだからこそ、レカロなんです。ちょっとスポーティーなクルマは、それなりのシートが装着されていますし、それこそレカロシートが標準装備されている場合もありますから、。問題は廉価なクルマのシートなんです。せっかく出会ったクルマと良いつきあいをしていきたいなら、レカロを入れましょう。レカロは一生モノです。クルマは換えても、レカロはそのクルマにあったレールを用意すれば、すぐに載せ換えられます。また、ちゃんとしたお店で購入すれば、布の張り替えや、アンコの調整、入れ直しなどもやってくれます。
なんか、熱くなっちゃいましたが(笑)、私のレカロ好きも伝わったと思います。ちなみに、私はレカロとは何ら関係ないですよ。あと、レカロ以外のシート、(ブリッドとか、スパルコなど)に関しては、座ったこともないのでコメントできませんが、間違いなくノーマルシートよりは体にやさしいと思います。シートは、クルマを構成しているパーツの中で、一番自分の体に触れている面積が大きく、時間が長いんです。ノーマルではなく、自分に合うモノを探してみてはいかがでしょうか?
さて、文の途中にも書きましたが、シートは、レールさえそのクルマに合うモノを買ってくれば、どのクルマにも装着できると言いました。レカロの場合は、正規代理店である、ブリンプがレカロのレールを供給しています。(ただし、ブリンプからレールを購入する場合には、正規品のレカロの製造番号が必要です。)また、正規品レカロの小売りをしているショップなどでは、レールを含めその人の身長や体型にあったポジションをセッティングしてくれる所もあります。(もちろん、この場合はそれなりの予算がかかります。)もし、本当に腰痛に悩まされている方がいらっしゃいましたら、是非、こういうショップでシートのセッティングをして頂くことをおすすめします。何も考えずにレカロに座っているだけで、長年の腰痛が治ってしまったという例もあるそうですから。ちなみに、レカロは国際線旅客機のシートも製造しているんです。つまり、長時間座り続けるための椅子の開発は、クルマ専用に始まったわけではなく、このような場面でも生かされているんですね。
話がそれてしまいましたが、お金に余裕がある方は、上に書いたように、ショップさんで面倒見てもらえば良いと思いますが、私を含めたそれほどお金に余裕がない人は、シートさえ手に入れば、あとはレールさえ手に入れば良いという方がほとんどだと思います。昔は雑誌などでシートレールを製造しているショップの情報などを探しましたが、今はネット、特にヤフオクなどを検索すると、いろんなショップさんがシートレールを製造販売しており、お手頃価格で手に入れることができます。例えば、K12マーチで言えば、レカロSP-G用のシートレールだけでも、3,4のショップがヤフオクに出品しています。どこのショップのモノを選んだらいいか、迷ってしまいますよね。そこで、私の経験からレールを選ぶポイントを書いてみたいと思います。

  1. ノーマルに比べて、座面がどれだけ低くなるのか?
    私のように胴長短足だと、ノーマルシートでの問題点として、腰痛とか、ホールド性、うんぬんの前に、そもそも座面が高すぎて違和感があり、運転しづらい、という悩みがあります。例えば、K12マーチを初めて試乗したときは、目線が高すぎてちょっとしたトラックを運転している感覚におそわれました。私の中では、せっかくレカロにするからには、座面をできるだけ下げて、違和感をなくすというのも目的の一つです。 ヤフオクにレールを出品しているショップさんの売り文句には、ほとんど、この座面の低さのことがあげられています。ですから、購入の前に、実際にノーマルと比べて、座面が何cm下がるのかを質問してみると良いと思います。 逆に、ノーマルと同じくらいの座面でいいというのであれば、ブリンプのレールをおすすめします。ブリンプはノーマルのポジションを目標に設計されています。また、ブリッドのレールもノーマルより微妙に低い程度だと聞いたことがあります。逆に、ノーマルより5cm以上下げたいとか言う場合には、この2社のレールはおすすめできません。 では、できるだけ座面を下げたい場合に、一番下がるレールを購入して良いかというと、そうも簡単にはいかないので、そのことについて、次の項目に書きます。

  2. 剛性が確保されているか?
    一般にレールの剛性というのは、あまり語られないことが多いのですが、人間の体重をまるまる支え、さらにはクルマが走る際のGをまともにうける部位なわけですから、レールの剛性が非常に重要なファクターであることがわかると思います。
    実際私もSP-G用のレールで剛性があるモノ、ないモノをそれぞれ体験しました。
    剛性が高かったものといえば、FDで使ったレールです。レールというより、ただ、シートと車両を固定するためのステンレスの板です。もちろん、一度位置決めをして固定してしまうと、前後にはスライドできませんから、乗り降りには非常に苦労しました。ただ、このレール(というか、シートステーですね)は、いくらサーキットで激しく走ってもビクともしませんでした。
    逆に剛性が低いものといえば、今乗ってるEF9で使ったレールです。これは、ヤフオクで落札したモノですが、普通に座ってちょっと揺さぶると、レールがゆがんでぐらぐらします。もちろん、ちょっと激しい走行をすると、さらに腰が揺さぶられます。これでは、せっかくのフルバケットシートでも意味がありません。 このレールはとにかく、座面が低くなると言う売り文句でした。もちろん、剛性については一言も言及されていませんでした。構造は、SP-Gの左右を分離したレールで固定しているもので、右側が前後スライド用の固定レバーがついており、左側はフリーのレールになっています。右側と左側は分離していますから、それぞれが支え合うことができず、その分のゆがみはシートそのものの剛性にかかってきます。SP-Gはその骨組みは強化FRPですから、人間の体重がかかるとさすがに歪みます。その歪みは直接グラグラ感につながってきます。グラグラさせたときに、左側のフリーのレールを見ると、ゆうに1cmぐらいは前後にゆさぶられますので、そのひどさがわかると思います。 レールの剛性はセンターフレームの有無でずいぶん違ってきます。センターフレームとは、左右のレールをつなげるものです。では、剛性を高めるために、センターフレーム付きを選択すればいいのでは?と思われるかもしれませんが、これが、座面の下がり具合をスポイルしてしまうのです。つまり、センターフレームがあると、サイドでねじ止めするSP-Gの場合、センターフレームを上方向によけなくてはならないので、その分座面があがってしまいます。センターフレームがなければ、それをよける必要がないため、シートをクルマのアンダーフロアーぎりぎりまで下げることができるのです。理論上、そのクルマの限界ぎりぎりまで座面を下げることができます。 ただ、この辺はクルマにもよりますし、センターフレーム付きでも工夫をしてできるだけ低くしているレールもありますから、販売元に問い合わせてみると良いと思います。 ちなみに、リクライニング可能なSRシリーズは、基本的にはシート底面でねじ止めするため、SP-Gあたりとくらべるとどうしても座面は下げにくくなってしまいます。

  3. スライド量、スライドのスムーズさ
    レールによっては、前方向のスライド量が足りず、ベストポジションまで持っていけない場合や、後ろ方向にあまり下がらず、乗り降りしにくいということがあります。また、座面を最低まで下げると、クルマのアンダーフロアーとシートが接触し、スライドできなくなることもあります。この辺も、販売元に問い合わせる必要がありますが、私の経験では、あまり細かなデータを持ってない場合が多く、しっかりとした回答が得られないことがほとんどですので、最後は一か八かになってしまいます。。

  4. 穴位置精度が悪い、溶接のバリがある
    作りが雑で、微妙にクルマとの取り付け穴位置が合わない場合や、溶接のバリが残っていて、チクチクするとか、あるようです。こればっかりは、販売元を信じるしかありませんが、ヤフオクの場合、評価制度がありますので、実際に購入した方の評価文を参考にすると、その製品の出来具合がわかるかもしれません。

さて、シートとレールが手に入ったら、あとは取り付けです。取り付けに至ってはそれほど難しいことはありません。基本的には、車両とレールの間の4つのボルトと、レールとシートの間の4つのボルトを締めると終了です。スライド可能なレールの場合は、前後量はあとからでも調整できますが、座面の高さに関しては、じっくり時間をかけて調整するか、一度取り付けてみて、後日もう一度調整するぐらいの、心の余裕が必要だと思います。また、私も実際に発生した問題ですが、走行しているとボルトがゆるんでくることがあります。常にゆさぶられて力がかかる部分ですから、ちゃんとしたトルクで、取り付け数日後に増し締めすることを忘れないでください。私は、車両とレールの間のボルトが脱落したことが2度(汗)あります。どれだけ締めてもゆるんでくるという印象です。(トルクが足りないのかもしれませんが)

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