前回のブログエントリ「ONKYO GRANBEAT DP-CMX1 + SHURE SE846 音チェック #3」では、GRANBEAT DP-CMX1 の出力インピーダンスと、SHURE SE846のインピーダンスの関係から、6~8kHzの中高域での沈み込みがあるかもしれない、と考察しました。
それを踏まえて、実際にGRANBEAT DP-CMX1 にSHURE SE846 を接続して聴いてみました。
音楽再生アプリは、GRANBEAT DP-CMX1にプリインストールされている、ONKYO純正のMusic Appです。
SHURE SE846のノズルは「ブライト」です。
比較対象は、AT-PHA55BT のモードBです。
AT-PHA55BTのモードBは、こちらhttp://digigen.blog.so-net.ne.jp/2017-11-23-1でも紹介しましたが、出力インピーダンスを設けないモードである、と書かれています。
いくら「出力インピーダンスを設けない」といっても、0Ωはあり得ないので実質は1Ω以下だと思います。
つまり、GRANBEAT DP-CMX1の出力インピーダンスが約5Ωに対し、AT-PHA55BTのモードBは1Ω以下なので、SHURE SE846の中高域でのインピーダンス5Ωに対してAT-PHA55BTは十分低く、2つの抵抗による分圧(電圧の折半)が発生しにくいと考えられるため、GRANBEAT DP-CMX1との比較対象として好都合であると考えました。
音源は、Helene Grimaud エレーヌ グリモーの「Perspectives」に納められているピアノ協奏曲全般です。
迫力あるピアノのみならず、エレーヌ グリモー本人の息づかい、指でピアノ鍵盤を叩く音など、良いプレーヤ、良いイヤホンでないと聞こえない音がたくさん収められている、音をチェックするのには最適なCDだと思って購入しました。
結果、考察通り、GRANBEAT DP-CMX1とSHURE SE846との組みあわせにおいて、中高域で明らかな落ち込みを感じました。
AT-PHA55BTのモードBにおいては、ノイズまみれでこの手の曲は聞くに堪えないのですが、それは置いておくとして、ピアノの中高域はGRANBEAT DP-CMX1と比べて確実にパワフルに聞こえます。
ただ、逆に耳や頭にキンキンくる、不快な感じを受けました。
iPhone + 純正Lightningヘッドフォンアダプタ+SHURE SE846で聞いても、同様のイヤな感じを受けます。
オーディオの世界で俗に言う、「サ行が刺さる」って奴です。
GRANBEAT DP-CMX1+SHURE SE846において、この「サ行が刺さる」は一切発生しません。
調べてみると、もともと人間の耳の構造上、6kHz付近で共振が発生して、音圧のピークを発生しやすいそうです。
テクノロジー | なぜ6kHzに強烈な音圧のピークを生じるのか? | ヘッドホン音質革命/音茶楽 Sound Customize
GRANBEAT DP-CMX1とSHURE SE846の組みあわせにおいて、6kHz付近の音圧が落ち込んでしまうことって、結果的に快適に音楽を聴くことに一役買っているのかも知れません。
SHUREがそこまで想定したインピーダンス特性を作り込んでいるのだとすると、驚く以外ありません。(アンプとの組みあわせでの特性なので、SHUREの手の届かない範囲ではあるのですが。)
サ行が刺さらず非常に快適なのですが、イコライザで少し持ち上げてみると、より気持ちよい感じになりました。
このイコライザセッティングで、クラシックもロックも何でもこなせます。
少しだけ低域や高域でも色気をだしてしまっていますが、基本はGRANBEAT DP-CMX1との組みあわせにおいて苦手な周波数ゾーン6~8kHzを持ち上げる、という、理由がはっきりしているセッティングです。
次回のブログエントリでは、GRANBEAT DP-CMX1のもう一つの特徴である、バランス接続について考察と実証をしてみようと思います。