前のエントリで、モバイルバッテリ TL160K に Retina MacBook Pro を接続すると充電が止まってしまうと書きましたが、その原因を調査すべく、まずは、Retina MacBook Pro と MacBook Air に付属のACアダプタについて調査してみました。
Retina MacBook Pro には 85W ACアダプタが、MacBook Air には 45W ACアダプタがそれぞれ付属しています。
85W ACアダプタのスペック:定格出力電圧 20V、最大出力電流 4.25A
(20V x 4.25A = 85W)
45W ACアダプタのスペック:定格出力電圧 14.85V、最大出力電流 3.05A
(14.85V x 3.05A = 45.3W)
最大出力電流だけでなく、定格出力電圧が異なるのが興味深い所です。
一般的に、電圧違いの AC アダプタを PC に接続すると、動作しないか、最悪の場合 PC を壊してしまいかねません。でも、85W も、45W も、どちらもプラグは同じ MagSafe2 ですから、85W ACアダプタを MacBook Air に接続することも、45W ACアダプタを Retina MacBook Pro に接続することも、「物理的」には可能なのです。
ちなみに、Apple は、ACアダプタは大は小を兼ねるが、小は大を兼ねませんと正式にコメントしています。
Intel-Based Apple notebooks:正しい電源アダプタと電源コードを確認する方法
http://support.apple.com/kb/HT2346?viewlocale=ja_JP
まずは、Retina MacBook Pro に 85W と 45W ACアダプタを接続したときの電流を見てみます。Mac は システムプロファイラ-電源 で、Mac が消費している電流を見ることができます。
Retina MacBook Pro + 85W ACアダプタ
ACアダプタは 85W、消費電流は、4,271mA (4.271A) です。85W ACアダプタの出力可能な電流ギリギリまで流れています。(4.25A を少し超えていますが、誤差範囲でしょう)
Retina MacBook Pro + 45W ACアダプタ
Retina MacBook Pro は、今接続されているのは通常より小さい 45W ACアダプタだということを認識して、消費電流を 45W ACアダプタが出力可能な 2,034mA (2.034A) まで下げています。
つまり、Mac は今どの大きさのACアダプタが接続されているかを認識して、そのACアダプタなりの電流に抑えて消費する仕組みなのです。
Retina MacBook Pro に、小さな 45W ACアダプタを接続すると、消費電流は 85W の時の半分以下となりますから、当然ながらバッテリの充電時間も倍に伸びると思われますが、使えるよりは使えた方がありがたいですし、バッテリの充電速度にこだわらないのであれば、小さな 45W ACアダプタを持って外出するという選択肢もあるということになります。もちろんこの方法は Apple が推奨する使い方ではないので、あくまで自己責任、ということになりますが。
次に、MacBook Air で同じ実験をしてみます。
MacBook Air + 45W ACアダプタ
消費電流は、2,151mA。
MacBook Air + 85W ACアダプタ
消費電流は、2,152mA で、45W とほとんど同じ。
MacBook Air の場合は、大きな 85W ACアダプタを接続しても、消費電流を増やしてバッテリ充電時間を短くするという制御はしていないようです。つまり、MacBook Air にとってみれば、45W も 85W も AC アダプタとしては「まったく」同じ性能、ということになります。
この調査からわかったポイントは以下の2点。
1. MacBook 本体には、今自分にどの大きさのACアダプタが接続されているかを判別する機能がある。
2. MacBook 本体には、今自分に接続されているACアダプタの大きさに準拠した電流に調整して消費する機能がある。
では、モバイルバッテリ TL160K + 非純正ケーブル で充電する場合、MacBook 本体はそのACアダプタをどういう風に認識しているのか?については、次のエントリで。
Retina MacBook Pro と MacBook Air の AC アダプタの調査