SIGMA DP2 Merrillについて、購入前なのにあれこれ思っていることを書こう!のコーナー。
DP2 Merrillの発表を見て、聞いて、恐らく一番多くの人が引っかかったであろう部分、それは撮影可能枚数が「約97枚」だということだと思います。この数字を見て連写可能枚数だと勘違いしてしまったという人がいるくらい、現代では逆の意味でインパクトのある数字だと思います。昨今のデジタルコンパクトカメラであっても撮影可能枚数が300枚くらいは当たり前だし、私が持っているEOS 5D Mark IIIに至っては常温で900枚というスペック。私はまだEOS 5D Mark IIIのバッテリを開封時の1度しか充電したことがありません。
そんな中、約97枚という数字に込められた思いは?「約」を付けるならなぜ約100枚と言わなかった?という率直な疑問も生じますが、これを逆に解釈するとコンシュマーへ情報を正直に伝えるためにギリギリの決断をしたんだろうなぁというSIGMAの思いが伝わってきます。
そしてこれを補うためのSIGMAの驚くべき施策。それはバッテリを2つ同梱しちゃえ!っていうビックリ仰天な方法でした。これを見たとき思わず笑っちゃた人も多いかと。私もそうです。今まで、あまりにバッテリが持たないから2つ同梱した製品なんてあったでしょうか?もしかしたら携帯電話がまだアナログ方式、もしくはデジタル方式(PDCフルレートの時代ですね)に移行したばかりの頃、待ち受けが30時間とか言う頃にそういうことをしたメーカがあったかもしれませんが、思いつくのはそれくらい。そしてこの話は10数年前の話です。
現在、大手メーカがこんなにもバッテリが持たないカメラを開発したら、恐らく発売延期になると思います。どんなに画質が良くてもマーケティング部署からOKが出ないでしょう。そしてSIGMA社内にもそういう意見があったと思います。しかし発売を決断した。このことについて私は英断だと思いますし、冷静な判断でもあると思います。今のSIGMAのカメラにバッテリ性能は二の次三の次、お客様が何を求めてSIMGAのカメラを買うかを冷静に分析すれば自ずと答えは見えてくるし、時代に逆行したとは言えそれを決断した上層部の判断は間違っていないと私は思います。
もちろん、メーカはさらなる技術向上をやめてしまってはいけません。バッテリ駆動時間についてもしかりです。しかし、限られた開発リソースの中、出来ることと出来ないことはSIGMAもユーザーも認めなくてはいけません。そしてそれをユーザーが認められなくなったとき、SIGMAが終焉するのは必然です。まだ発売前なので答えを出すのは早すぎるかもしれませんが、今回ユーザーはこの件を容認したということだと思います。
バッテリ駆動時間を改善するためには、DP2 Merrillに2つ搭載されている画像処理ASIC(True II)の改版は避けて通れないと思います。ASICをシュリンクして1つ使いにするだけで単純計算で消費電力は半分になり、撮影可能枚数は倍になります。ただし今、ASICを改版したらDP2 Merrillの発売は恐らく1年は伸びるでしょう。
これを読んでくださっている人で覚えている方もいるかもしれませんが、初代DP1の発売が約1年伸びた理由もASICの改版です。DP1ではASICを改版したのにDP2 Merrillはそれをしなかったのはなぜか。それぞれの理由を考えれば明白です。DP1は画質に問題があったからです。SIGMAは発売前からDPシリーズを求めるコンシュマーは画質を命に考えるだろうということを想定して、SIGMAにとって要となる年度売り上げを棚上げしてでもASICを改版しました。ASICを取り巻く状況を見ても、昔と今でSIGMAの姿勢は変わっていないことが分かっていただけると思います。そして、撮影可能枚数を犠牲にするASICを改版せずに出すDP2 Merrillは画質に関しては妥協していないということを、過去のDP1発売遅延の例と比較するとわかってくるのです。
SIGMA DP2x
SIGMA DP2 Merrill 購入前所感 #1