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キヤノン デジタルレンズオプティマイザ(DLO)がすごすぎる

数年ぶりに手にしたキヤノン一眼レフ、EOS 5D Mark III。キヤノン一眼の感覚を少しずつ取り戻しつつありますが、とにかく当時私が使っていたEOS-1D Mark IIより優れたAF性能に驚愕しております。約1ヶ月前、α77+Distagon 24mmでAFが合わない、合わない、と言っていたのはどこ吹く風。EOS 5D Mark IIIがピピッとAF合焦を知らせたならば、そこは誰がなんと言おうとジャスピン、寸分の狂いもありません。下手なMFをするくらいだったら、ファインダー内のちょっとしたコントラスト差を見つけて、そこにAFフレームを合わせる努力をした方がマシ。クロス測距点であればそのコントラスト差もほんのちょっとでOK。
そしてもう一つ感動したのは、キヤノン純正現像アプリDigitalPhotoProfessionalのデジタルレンズオプティマイザ(DLO)。DPP自体はEOS-1D Mark IIの時代から存在していたし、使い勝手も昔とそれほど変わっていなかったので、すんなり使えるようになりました。しかし当時には無かったDLO機能にビックリ。そこにデジタル補正の究極を見ました。
DLOとは簡単に言えばデジタル補正による超解像度処理。デジタル補正と言えば各種収差や歪み補正など、Adobe Lightroomやデジタルカメラ本体に搭載されて久しいですが、DLOはそれの究極の姿。カメラ本体のセンサやローパスフィルタの特性、レンズの光学特性、焦点距離や絞り値などのパラメータから、キヤノンが持つすべての光学特性のノウハウを使ってデジタル補正します。
DPPでの使い方を紹介します。
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DPPでRAWファイルを現像する際、まず最初にレンズデータをダウンロードすることから始めます。
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ダウンロード可能なレンズデータ一覧が表示されます。選択した写真を撮影したレンズが太字で表示されています。用意されているレンズデータは基本的にはLレンズが中心のようです。
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EF24-105mm F4L ISのレンズデータをダウンロードします。そのサイズはなんと51.6MB。この中にキヤノンが持つレンズのノウハウがすべて盛り込まれていると思うとなんだか胸が熱くなります。
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レンズデータのダウンロードが完了すると、DLOを適用出来るようになります。
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適用量をチェックすると、プレビュー画面にDLOが適用された後の画像を表示します。プレビューには4コア8スレッドのCorei7(SandyBridge)でも、毎回数秒かかります。処理は非常に重い、です。
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適用を決めて「保存」をクリックすると、元RAWファイルに適用データを保存します。
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DLOの適用、保存には10秒程度かかります。プレビューを含めると1枚のRAWファイルにDLOを適用するために必要な時間は30秒以上。この手順を1枚1枚繰り返す必要があるため、全RAWファイルにすべてDLOを適用するのは現実的ではありません。必要なRAWファイルだけに適用してください、ということなのだと思います。
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適用した結果がこちら。同じレンズから得られた画像なのか?と疑いたくなるほどの効果です。
DLOは確かにすごいのですが、すべてのRAWファイルに適用すべきなのかというと、答えは間違いなくNoです。DLO適用前後の違いはピクセル等倍で見ないとわからないレベルですから、その恩恵に与れるのは実際にはA2以上にプリントする、などの場合に限られるでしょう。
また、DLOは超高解像度技術ですから、適用後は悪く言えばカリッカリの画像になります。現像する際、DLOを適用するのであればシャープネスは0にした方がいいというキヤノン公式のアナウンスもあるほどです。レンズのマイナス部分をすべて取り去ったカリッカリな写真がすべて良か、というとそうでないのは当たり前のこと。そのレンズが持つ短所を理解して受け入れる、というのも写真を楽しむ要素の一つだったりしますから。
とはいえ、DLOにキヤノンの本気を垣間見ることができます。なにしろレンズの光学ノウハウをデータとしてユーザーにダウンロードさせて使わせてしまうのですから。一歩間違うとキヤノンが今まで積み上げてきた光学ノウハウをすべて流出させてしまいかねません。(まぁ、そんなことにはならないような処置はしているのでしょうけど)我々ユーザーは、DLOがキヤノンのデジタル一眼の可能性を広げてくれる、という位に受け止めておくのが一番楽しいと思います。

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