プリンタ

印刷結果比較

モニターキャリブレーションを読んでいただいた方は、おそらく自分のモニターの色にある程度の自信を持っておられることと思います。その状態で、何か写真を写真用紙に印刷してみてください。そして、出力結果とモニターに表示されているモノと比べてみてください。
おそらく、ほとんどの方が首をかしげる結果だと思います。その写真に人物が写っていたとすると、「肌色が黄色っぽい」とか、背景が青い空の色だとしたら、「空の青さが違う」とか。その原因を考えてみようと思います。
まず第一に考えられる原因、そしてインクジェットプリンタを使う上で一番気をつけなければいけないのが、
しっかり乾燥すべし。
です。ご存じの通り、インクジェットプリンタは、いろんな色のものすごい小さいインクの粒を紙に飛ばして色を表現しています。最近はインクや紙の進歩によって、印刷直後に印刷面を触っても指にインクが付くと言うことは無いようですが、ミクロに見ればインクは紙の上でまだ乾燥していない状態です。
インクは長い時間をかけて紙に染みこみ、その状態で本来の色を表現するように作られています。例えるならば、インクジェットプリンタの印刷は藍染めの布を染めることと同じです。最初はどす黒い液体で染められた布も、しっかり乾燥させると鮮やかな藍色になるのと一緒です。(多少強引な例えですが)
インクジェットプリンタ用の写真用紙の注意書きには「24時間程度乾燥させてください」と記載してあります。その理由としてアルバムや額縁に入れたときの色あせを防ぐためと書かれていますが、インクジェットプリンタの出力結果を評価する際、発色を比べる場合にはこの乾燥時間、乾燥方法は非常に重要な行為です。これを無くしてプリンタの色は語れません。
私が必ず実行している乾燥方法は、

  • 印刷直後、15分ほど重ねずにそのまま乾燥させる。
      まずはインクの大半をここで蒸発させます。その際、必要以上に指で触れてはいけません。写真用紙によっては印刷直後、裏から指を添えた部分が変色してしまうこともあります。
  • 普通紙に挟み、本などで重しをして、約24時間程度放置する。
      この時間でインクをしっかり紙に染みこませます。個人的には24時間というのは長すぎ、12時間程度でも十分色は落ち着き、本来の色になっていると思いますが、どのメーカの用紙の注意書きにも24時間と記載してあるので、なんらかの根拠があると思います。

24時間の乾燥時間は、色を評価する上で、非常に辛い待ち時間です。色を調整してもその結果がわかるのは24時間後ですから、いくら時間があっても足りません。その辺は、この世界にハマッてしまったのだからとあきらめるしかありませんし、パラメータを少しずつ変えた写真をたくさん印刷しておいて、まとめて24時間後に評価するなど、工夫することで時間を有効に使うことができます。
さて、乾燥後、やっぱり印刷結果とモニタの表示が違う、という場合は、
印刷アプリケーションの設定を確認せよ
人肌の色の違いなどは、印刷アプリの設定が原因であることが多いです。アプリは山ほどありますので、ここで一つ一つ指摘はできませんが、共通して言えるのは、「各種、色補正機能はすべてOFF」にすべきです。CANONプリンタですと、「VIVID」だったり、「ノイズリダクション」だったり、「赤目補正」など、様々な補正機能が搭載されていますが、モニタとの色の違いを無くそうと考えているような人は、こんな補正機能に頼ってはいけません。特にCANONプリンタの設定で「VIVID」をONにすると、ゴッテゴテの色になり、もとの写真の質感などを台無しにしてくれます。
CANONプリンタ用の印刷アプリで「Easy-PhotoPrint」では、デフォルト(インストール直後)は「自動補正」がONになっています。この設定がONのままでハマっている人が多いとおもいますし、私もそうでした。
また、プリンタドライバの設定でもVIVIDやノイズリダクションなどの設定が可能ですので、すべてOFFにしておきましょう。
最後に、
まずは、純正用紙を使うべし
CANON純正用紙ですと、「プロフェッショナルフォトペーパ」、「スーパーフォトペーパ」などがありますが、他社の用紙と比較すると割高で使っていない人が多いと思いますが、ここに落とし穴があったりします。
例えば、私もよく使う、FujiFilmの「画彩写真仕上げPro」を、iP8600で印刷する場合、できるだけ高品位で印刷しようと思うあまり、「プロフォトペーパ」設定で印刷してしまうと、色がまともにでません。画彩写真仕上げProの注意書きにも書いてありますが、iPシリーズで印刷する場合には「スーパーフォト」設定で印刷しないとダメなのです。(ただ、この設定でも若干の色違いは発生します。)
私が評価した結果、iP8600では、プロフォトペーパをプロフォト設定で印刷すると、ほぼ狙い通りの色がでます。さすが高いだけのことはあります。スーパーフォトペーパは、スーパーフォト設定で印刷してもプロフォト並の色の再現性はありませんでした。(この辺は、プロフォトとの差別化のための策略のにおいがしますが)
楽して、狙った色を出したい場合は、高いプロフォトペーパを買えってことですね。でも、私は下記の理由により、プロフォトを使い続ける気がしませんでした。

  • 高い!!
      何しろ高すぎです。しかも高い割に紙厚は240umと、安っぽい。FujiFilmの画彩写真仕上げProや、エプソンのクリスピアの紙厚は300umなのに、プロフォトよりも安いです。
  • 白の発色?が悪い!!
      白はインクで表現していないので、発色というのは違う気もしますが、印刷していないプロフォトペーパを見ると若干黄色がかっているのがわかります。(他社のペーパと比較すると一目瞭然です) つまり、プロフォトを使っている限り、真っ白は表現できないのです。この黄色成分は人肌の柔らかさを表現するのには一役買っているようです。しかし私は「白」は写真のメリハリを表現するのに重要と考えプロフォトは使いたくありません。
  • 傷つきやすい!!
      表面が柔らかすぎのように思います。例えば、新品のプロフォトを袋から一枚取り出すと、その下の印刷面に取り出し方向に擦り傷がつくのです。これがどの程度写真のクオリティーに影響あるかは不明ですが、気分の良いものではありません。
  • ひび割れ?!
      これは私が確認したわけではなく、某雑誌の実験結果ですが、長時間放置で印刷面がひび割れるという記事が載っていました。iPシリーズ、BCI-7インクになって色あせにも強くなったと言われていますが、CANONはそれを受け止める写真用紙に早急のてこ入れが必要と感じます。

純正ペーパーを使いたくないが、色はきちんと出したい。もしくは、純正ペーパーでももっときっちり色を出したい場合は、どうしたらいいか?モニターの場合と同じく、プリンタもキャリブレーションすることをお勧めします。
私が試したキャリブレーションツールを紹介していきます。

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